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凶弾に倒れる

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深夜零時を少し廻った頃、アルバイト終わりの疲れた体で北千里に着いた俺は立ち止まり思考を巡らせていた。

はらがへった。

なにをくおうか。

この時間にやっている飲食店は限られてくる。

無い選択肢を一つずつ消していき、俺は某大手中華料理チェーン店に入ることにした。

 

入り口の自動ドアに新メニューの告知が張り付けられていたのでそれを注文することにする。

やきそばだけでは量が不安だったので焼き飯の大盛りを同時に注文することにした。

それぐらいに腹が減っていたのだ。

 

先ず焼き飯とスープが運ばれてきた。

これらは食べなれたものなので、まあこんなものかと焼きそばを待ちつつある程度を食べ進める。

 

そうこうしていると焼きそばが到着した。

大体写真通りの物が現れたが、鰹節と柚子は別の皿に添えられていた。

 

期待に胸を躍らせ麺を持ち上げ口に運ぶ。

これは、と、俺は言葉を失った。

先ず、ソースの重厚な味が舌を刺激する。舌の上で石油を積んだタンカーが座礁したかのような錯覚を覚えた。

俺は一羽の哀れなカモメの気持ちを味わうと同時に引き続きこの劇物を味わう必要がある事に少しばかり絶望した。

しかし、ソースだけでなく他にも違和感のある味が漂っている事に気付いた。

何故かカレーの様な風味までもが漂ってくるのだ。

どうやらタンカーはインド洋沖で沈んだようだ。

麺も通常の焼きそばと違い国産の細麺を使用しているため、味がよく染み込んでおり半端な固焼きの食感もまた食べる事の罪深さを感じさせてくれる。

まずい。

なんとまずいことか。

小学校の頃家庭科の授業で作ったやきそばを思い出す。

班員が限界を超えた量のソースを入れたがためにとても食べられたものではない味となった焼きそば。

あの時は野菜がソースに染まりきらなかったのでまだ救いとなってくれたが、今回はあの時とは違う。

なんとこの焼きそばは、野菜までもが辛い。

野菜たっぷりだろうがなんだろうがこんなものを完食したら健康を害すのは火を見るより明らかだろう。

もう何処にも救いはないと思われた。八方は塞がった。四面は楚歌。

しかしまだ空があるのではなかろうか。

俺は一縷の望みと共に上に載った目玉焼きに箸を伸ばした。

黄身の部分に箸を指す。

その時、無残にも半熟の黄身は流れ出ていき、他の有象無象と同化した。

何も状況は変わらなかった。

無念、天までもが我を見放したか。

 

一旦敵地インド洋沖を去り、焼き飯へと戻る。

しかし拠点にも変化が訪れていた。

あまりにソースの味が濃すぎたためにもはや焼き飯を食べても味がしないのだ。

もはや祖国にも見放された今、俺に残された手段は自決のみであった。

 

俺は、苦虫を噛み潰したような顔で、食事を半分以上残して店を去った。

店を出て、空を見上げると雨が降っていた。

十一月の雨は冷たく、傘を持たぬ俺はフードを深く被りとぼとぼと歩きながら家路に着いた。

 

 

※全て中平個人の感想によるものです。